#4 幼少期4
父が出張だったとある日のこと。
私と姉は母に連れられ、飛行機に乗った。
旅行だと思ったら母の浮気につきそっていた話
たどり着いたのは北海道だった。
ひげが生えた知らない人と母は落ち合った。
タバコくさい車でいろんなところに連れていってもらった。
アイスクリームを食べたさせてもらった気もする。
たくさん笑った気がする。
カラオケにも行った。
その男の人がポルノグラフィティのアゲハ蝶とゆずのいつかを歌っていたことだけをただ鮮明に覚えている。
これが複数回あったことなのか、この1回だけなのかはよく覚えていない。
でも私にとってこの旅行は楽しいものだった。
母は笑っていて、おいしい食事がもらえて、暴力や暴言がない。
それだけで満たされたような気がした。
これが母の浮気であると知るその日までは。
ー ー ー
高校生になるくらいまでアゲハ蝶といつかがめっちゃトラウマになりました。
音楽番組で流れるたびに泣きたいような怒鳴り散らしたいような、何とも言えない気持ちが沸き上がった。
恨めしいような憎らしいような胸が締め付けられるような。
でも母は確かに幸せだっただろうし、
私もよく笑っていた。幸せなひとときには違いなかったんだろうなぁと思う。
しかし母の浮気であったことが判明してから、楽しい記憶は崩壊した。
小学生の時はこの無意識について行ってたことがすごくしんどくなったことが多かった、
母の浮気を許可してしまっていたような自分
言外に認めていたような自分がすごく許せなかった。
母の浮気をとがめる恨みと同じように北海道へとついていった自分を呪った。
食べ物をもらって楽しい気持ちを抱いた自分を呪った。
罪悪感から逃れるように、罪滅ぼしのように。
母を卑下し、冒涜する行為をたくさんしてきた。